BtoB集客の方法10選。成功事例と成果につながる集客戦略を解説

2026年最新版。BtoB集客の方法。自社に合う施策の選び方

BtoB集客には、展示会やセミナー、SEO、Web広告、アウトバウンド、代理店など、さまざまな方法があります。ただ、競合が取り組んでいるという理由だけで始めても、自社に同じ成果が出るとは限りません。顧客との取引実績、専門性、予算、営業担当者の得意分野によって、優先すべき方法は変わります。

この記事では、BtoB集客の主な方法と向いている企業、自社に合う施策を選ぶ手順、継続・追加受注を踏まえた予算の考え方を解説します。

藤岡 充輝

この記事の監修者

藤岡 充輝

合同会社efu 代表

営業・マーケティング・事業開発の領域で約10年の経験を持ち、企業の事業成長を支援。2021年に合同会社efuを設立し、経営・事業課題の整理から、マーケティング戦略・KPI設計、集客・営業プロセスの構築までを手がける。SEO・広告・CRM・セールスを横断し、戦略策定にとどまらず、施策の実行・改善まで一貫して支援する。

現在は、生成AIを活用したマーケティングの高度化や業務設計、企業のAI導入支援にも注力。一般社団法人日本AI導入支援協会の代表理事も務める。

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目次

BtoB集客は、自社の強みに合う方法を選んで組み合わせる

BtoB集客の方法をアウトバウンドとインバウンド、費用の大小で分けたマトリクス。アウトバウンドで費用大は展示会・テレアポ・メール・DM・代理店、費用小は紹介・コミュニティ。インバウンドで費用大はWeb広告・比較サイト・業界メディア、費用小はSEO・セミナー・SNS

BtoB集客では、自社が選ばれる理由を、購入を検討する企業に伝えやすい方法から取り組みましょう。展示会、セミナー、他媒体への掲載、代理店、SEO、Web広告、アウトバウンド、紹介、コミュニティ、SNSが主な選択肢になります。

たとえば、顧客の業務を改善した実績が豊富なら、その事例を使ったセミナーや業界メディアでの発信が候補になります。技術の説明や対面での提案が得意なら、展示会や訪問につながるアウトバウンドも検討できます。特定のエリアで取引先が多い企業なら、地域の紹介や提携を広げるほうが、全国向けに広告を出すより始めやすい場合もあるでしょう。

複数の方法を組み合わせる際は、同じ強みを各施策で活用します。顧客の成功事例を業界メディアで紹介し、その詳しい解説をセミナーで行い、関心を持った企業へ個別に提案する、といった進め方です。予算が限られる場合は、優先する方法を絞って受注まで対応できる体制を作り、そこで得た実績を次の施策に生かしていきます。

また、継続契約や追加受注を見込める事業では、その利益も含めて集客予算を考えられます。どこで顧客を集めるかに加え、契約後に成果を出し、取引を続けてもらうところまで考えることが大切です。

BtoB集客の方法10選と向いている企業

同じ製品を売る場合でも、購入先を探している担当者に見つけてもらう方法と、まだ自社を知らない企業へ提案する方法では、必要な準備が変わります。ここでは、各方法でどのような顧客に働きかけられるか、自社のどんな強みを生かせるかを見ていきます。

展示会への出展

展示会では、対象の業務や技術に関心を持つ来場者に、実物やデモを見せながら説明できます。画面や資料だけでは違いが伝わりにくい製品、顧客の話を聞きながら用途を提案するサービスなどで検討しやすい方法です。その場で課題を聞き、具体的な提案ができる営業力を生かせます。

出展先は来場者数の多さだけで決めず、狙う業種や部署の担当者が参加するかを確認します。過去の開催報告や出展企業を調べ、自社の製品を必要とする人が訪れる展示会を選びましょう。ブースで何を体験してもらうかも、出展の判断とあわせて考えます。

費用には出展料や装飾費のほか、出展準備、当日の説明、終了後の個別対応にかかる人件費も含まれます。名刺を多く集めても、相談内容を記録できず、連絡する担当者もいなければ商談を逃します。来場者と話した内容を引き継ぎ、次の打ち合わせまで対応できる企業に向いています。

セミナーの開催・共催

セミナーは、顧客の課題と解決方法を詳しく説明し、自社の専門性を知ってもらう方法です。導入を決める前に知識を得たい担当者にも参加してもらえるため、すぐに商談を申し込む人だけでは獲得数が伸びない場合に検討できます。独自のノウハウや顧客の支援事例を持つ企業に向いています。

テーマは、自社製品の機能一覧からではなく、顧客が解決したい業務上の悩みから考えましょう。実際の相談で繰り返し聞かれる疑問を取り上げ、対処方法や取り組む際の判断基準を説明します。アンケートや質疑応答から、参加企業が何に困っているかを把握し、個別の相談につなげられる点も特徴です。

ただし、セミナーを企画すれば参加者が集まるわけではありません。自社の顧客リストが少ない段階では、同じ顧客層を持つ企業との共催や、業界メディアでの告知も候補になります。オンライン開催なら参加エリアを広げやすく、対面開催なら実演や個別の会話に時間を使えます。

【関連記事】安定したBtoBセミナー集客の方法。企画・SEO・ナーチャリングまで解説

比較サイト・業界メディアへの掲載

比較サイトは、同じ用途の製品やサービスを比較している担当者に、自社を候補へ加えてもらうために使えます。自社サイトの認知度が低くても、顧客が利用している比較サイトに掲載できれば、検討中の企業に情報を届けられます。価格や機能、対応範囲など、他社と比較したときの強みが明確な商材で検討しましょう。

一方、業界メディアは、その業界の担当者へ事例や専門知識を伝える場として活用します。専門性を伝える寄稿、顧客との取り組みを紹介する取材、広告記事などがあり、掲載方法によって費用や編集上の条件は異なります。

選ぶ際は、読者の業種・職種、掲載できる情報、資料請求や問い合わせの仕組みを確認します。一括資料請求型なら、同じ担当者が複数社から連絡を受ける可能性もあります。掲載後にどのような相手へ連絡できるのかまで確認し、媒体全体の閲覧数だけで判断しないことが大切です。

販売代理店・紹介パートナー・アフィリエイトの活用

自社が取り引きしたい企業に、すでに製品やサービスを提供している会社と組む方法です。自社だけでは開拓しにくい業界やエリアへ広げたい場合に候補になります。提携先にとって、自社の商品を扱う理由があるかが重要です。顧客からよく聞かれる悩みを解決できる、既存サービスと一緒に提案できる、紹介料や販売利益を得られる、といった利点が必要になります。

販売代理店は提案・販売まで担い、紹介パートナーは見込み顧客を自社へ紹介します。アフィリエイトは、媒体に掲載されたリンクなどを経由した申し込みや受注に対して報酬を支払う仕組みです。相手に任せる範囲が違うため、同じ条件で募集するのは適切ではありません。

まずは、誰のどんな相談なら自社へ紹介してほしいか、提携先が説明できる資料にまとめます。販売まで依頼するなら、製品説明の勉強会や商談への同席も必要でしょう。問い合わせ件数を報酬の基準にする場合は、対象外の相談や重複した申し込みの扱いも決めておきます。提携先を増やす作業に加え、提案しやすくする支援にも人員を割けるかを考えましょう。

SEO

SEOは、検索で製品やサービス、業務の解決方法を調べている人に、自社サイトを見つけてもらうための施策です。顧客が依頼先を検索して比較する市場では、問い合わせにつながるキーワードで、サービスを説明するLPそのものの上位表示を狙います。記事のアクセス数を増やすことだけがSEOではありません。

まだ依頼先を探していない潜在顧客には、業務上の悩みを解決する記事を用意します。実務経験や独自調査を取り入れ、専門家の知見や企業の実績を示すことで、広報やE-E-A-Tの裏づけにも使えます。記事の内容に合うホワイトペーパー、セミナー、無料登録などを案内し、情報収集中の担当者と継続して連絡できるようにします。

ただし、専門性のある企業でも、狙うキーワードの競争が激しければ簡単には上位表示できません。検索結果に並ぶ企業やページを調べ、自社が示せる実績・専門知識と、対策に必要な費用を照らし合わせます。顧客の検索需要があり、実績や知見を公開しながらサイトを改善できる企業に向いています。

【関連記事】【2026年最新】BtoBのSEO対策を基礎から解説。実践手順と成功事例を紹介

Web広告

Web広告は、広告費を使って製品・サービスやセミナーを案内する方法です。検索広告では、依頼先や製品を探している人が入力したキーワードに合わせて広告を表示できます。検索需要があり、価格や実績など比較時に選ばれる理由を示せる企業なら、購入を検討している人へのアプローチとして検討できます。

Meta広告やディスプレイ広告では、情報を閲覧している人に、まだ知らないサービスや資料を知ってもらう使い方もあります。すぐに商談を申し込んでもらうのが難しい商材では、業務課題を扱うセミナーや資料を案内する選択肢があります。検索広告と同じ文面・申し込み先をそのまま使うのではなく、広告を見る場面に合わせて内容を考えましょう。

注意したいのは、申し込みの獲得単価が低い広告ほど、受注にも有利とは限らないことです。資料を集めている段階の人と、具体的な依頼先を探す人では、その後に必要な営業対応が変わります。広告費に加え、広告制作や運用、獲得した見込み顧客への対応まで予算を組める企業に向いています。

テレアポ・メール・DMなどのアウトバウンド

アウトバウンドは、取引したい企業を自社で選び、電話やメール、郵送などで提案する方法です。対象企業が限られている商材や、課題はあっても解決サービスをまだ検索していない企業に働きかけたい場合に検討できます。待っているだけでは会えない相手に、こちらから提案できる点が特徴です。

相手を選ぶ基準は、業種や企業規模だけではありません。拠点の拡大、新サービスの開始、採用の強化など、公開情報から確認できる変化と、自社が支援できる内容を結びつけます。ただし、外から見た仮説を相手企業の課題として断定せず、話を聞くきっかけとして使いましょう。

大企業との取引を狙うなら、提案する部署や担当者を調べ、相手に合わせた文面を作る作業も必要です。企業ごとに提案を考えられる営業力があり、受注時の利益で調査や接触にかけた費用を回収できる事業に向いています。電話だけ、DMだけと分けず、送った情報を踏まえて連絡するなど、複数の手段を組み合わせて進めます。

顧客・取引先からの紹介

既存顧客や取引先に、同じような課題を持つ企業を紹介してもらう方法です。支援内容や担当者への評価を、紹介する人の言葉で伝えてもらえるため、初めて接触する企業にも自社を知ってもらいやすくなります。顧客満足度が高く、継続した取引や業界内の関係を持つ企業が取り組みやすい方法です。

「誰か紹介してください」だけでは、相手も候補を思い浮かべにくいでしょう。どのような企業の、どんな悩みを解決できるかを伝えます。紹介先にそのまま渡せる短いサービス資料や事例があると、取引先の説明負担を減らせます。

依頼するタイミングは、支援の成果を確認できたときや、顧客から評価を受けたときなどが候補になります。紹介件数は相手の事情にも左右されるため、必要な商談数を毎月紹介だけで確保できるとは限りません。既存顧客への支援を続けながら、他の集客方法と組み合わせて考えましょう。

コミュニティ・交流会への参加

業界団体や経営者の集まり、専門分野の勉強会などに参加し、仕事について相談できる関係を作る方法です。専門家との継続的な会話や、地域のつながりから依頼先を決める市場で検討できます。経営者や担当者自身が、参加者の悩みに答えられる企業に向いています。

参加先は人数だけで選ばず、自社の顧客になり得る人や、紹介し合える企業がいるかを確認します。交流会で一度名刺を交換するだけでなく、相手の事業を知り、相談への回答や情報提供を続ける時間も必要です。

会費が安くても、参加や個別の面談に時間を使えば、その分の費用はかかります。誰にでも営業する場と考えると関係を損ねかねません。参加者に提供できる知識や協力内容を持ち、継続して関係を築ける場を選ぶことが大切です。

SNSでの情報発信

SNSでは、企業や担当者の実務経験、業界への見解、調査結果などを継続して発信し、自社の考え方や専門性を知ってもらいます。経営者や専門家が自分の言葉で説明できる企業、業務の中で発信材料が生まれる企業に向いています。

たとえば、顧客からよく受ける質問にどう答えたか、業界の変化をどう捉えているかを説明します。一般的な用語解説だけを繰り返すより、実際の判断やその理由を伝えるほうが、自社に相談する意味を示せます。顧客の情報を使う場合は、公開できる範囲を確認しておきましょう。

広く読まれる投稿と、見込み顧客から相談される投稿は同じとは限りません。反応した人の業種や、投稿をきっかけに届いた相談内容も確認します。自社の専門分野に合う発信を続け、関心を持った人がプロフィールからサービスや事例を確認できるように整えます。

成果につながるBtoB集客の戦略を立てる手順

自社の強み、顧客の情報収集、競合の状況から集客方法の候補を出し、予算と体制で優先する方法を決める流れ

各方法の向き不向きを理解したら、自社が実際に選ばれた理由と、顧客が依頼先を探す方法を照らし合わせます。実績を振り返り、顧客・競合を調べ、予算と担当者を決める順に進めましょう。

実績・専門性・価格・営業力から、自社の強みを整理する

まず、受注した案件の中から、比較されたうえで選ばれた理由を確認します。営業担当者の感想だけで決めず、顧客から聞いた発注理由、提案時に評価された内容、継続して依頼されている業務を見ていきましょう。

同業他社への支援実績が決め手になったなら、その実績を示せる媒体やセミナーが候補になります。担当者が直接説明したことで技術の違いが伝わったなら、展示会や個別提案を生かせます。価格が理由なら、比較サイトや検索広告を検討できますが、その価格でも獲得費用を回収できる利益があるかを確かめる必要があります。

資本力や営業体制も強みの一部です。先行投資できる企業は、出展準備や広告の検証に予算を割けます。一方、少人数でも特定分野に深い知見があれば、専門的な発信や相手を絞った提案から始められます。顧客に選ばれる強みと、それを伝えるために使える経営資源を分けて整理すると、施策を選びやすくなります。

顧客の情報収集と競合の状況から、集客方法の候補を絞る

次に、既存顧客へ「何をきっかけに依頼先を探したか」「どこで候補を見つけたか」「最後に何を確認したか」を聞きます。最初に知った場所と、問い合わせる直前に見た場所が同じとは限らないため、一つの経路だけで判断しないようにします。

競合についても、同じ条件の企業がどこで顧客を集めているかを調べます。検索結果なら、メーカーやサービス提供会社のLPが並ぶのか、比較サイトが多いのかを確認します。業界メディアや展示会なら、顧客が参加・閲覧しているかに加え、競合がどの実績や特徴を訴求しているかを見ましょう。

競合が多い経路でも、比較時に評価される違いを示せれば候補になります。反対に、競合が見当たらないからといって集客しやすいとは限りません。そもそも顧客がその経路を使っていない可能性もあります。顧客がいることと、その場で自社を選ぶ理由を伝えられることの両方を確認して候補を絞ります。

予算と運用体制を踏まえ、優先する方法を決める

候補を絞ったら、実施費用だけでなく、誰が準備し、誰が獲得した相談へ対応するかを決めます。セミナーなら企画・登壇・告知・参加後の連絡、SEOなら専門家への取材・制作・サイトの改善が必要です。担当者の作業まで割り当てられる方法を優先しましょう。

短期の受注が必要な場合と、将来の相談を増やしたい場合でも、配分は変わります。すでに取引したい企業が明確なら、個別提案を先に試す選択肢があります。一方、顧客が継続して検索する課題があり、独自の知見を公開できるなら、サイトへの蓄積も進める価値があります。

予算や人数が限られる段階で、展示会、広告、記事制作をすべて同時に始めると、各施策を改善する余力がなくなります。まず優先する方法を決め、どの顧客から反応があり、受注までどこで止まったかを確認します。その結果から不足を補う施策を追加すると、方法を増やす理由が明確になります。

BtoB集客の予算は、継続・追加受注まで含めて考える

1社から毎月10万円の粗利益を得る仮の例で、累計の粗利益が3か月で30万円、6か月で60万円、9か月で90万円、回収期間の12か月で120万円になり、そのうち60万円を顧客獲得費用の上限とし、残りを固定費や利益に充てることを示したグラフ

BtoB集客の予算を考えるときに役立つのが、LTV(顧客生涯価値)です。1社の顧客との取引全体で得られる価値を表し、初回受注だけでなく、継続契約や追加受注も含めて考えます。売上で計算する方法もありますが、集客に使える金額を考えるため、ここではサービス提供にかかる原価を差し引いた「粗利益ベースのLTV」を使います。

初回受注・継続契約・追加受注で得られる粗利益を見積もる

粗利益は、売上から製品の仕入れやサービス提供に必要な人件費・外注費などの原価を差し引いた金額です。月額契約のサービスなら、次の式でLTVを概算できます。

売上ベースのLTV=平均月額料金×平均継続月数
粗利益ベースのLTV=平均月額料金×粗利率×平均継続月数

たとえば、月額20万円、粗利率50%、平均継続期間24か月のサービスを仮定します。売上ベースでは「20万円×24か月=480万円」、粗利益ベースでは「20万円×50%×24か月=240万円」です。顧客獲得費用と比較する際は、後者の240万円を使います。

案件ごとに受注する事業なら、「1回あたりの平均受注額×粗利率×取引期間中の平均受注回数」で概算します。月額契約か単発契約かにかかわらず、1社との取引が終わるまでに得られる粗利益を合計する考え方です。

別サービスの追加受注も見込む場合は、購入する顧客の割合を反映します。たとえば、取引期間中に顧客の20%が、粗利益50万円の追加支援を1回購入するなら、1社あたりの上乗せは「50万円×20%=10万円」です。先ほどの月額契約の例では、次のように計算できます。

追加受注を含むLTV=基本契約の粗利益240万円+追加受注による平均粗利益10万円=250万円

平均月額料金に追加契約の売上を含めている場合は、その利益を重ねて加算しないようにしましょう。継続期間や追加受注率は、同じサービス・顧客層の実績から見積もります。まだ実績がなければ、まず初回契約で得られる粗利益をもとに予算を考えます。

費用を回収する期間を決め、顧客獲得費用の上限を考える

LTVと比較する顧客獲得費用は、CAC(顧客獲得単価)と呼ばれます。広告費に加え、営業人件費や制作費など、新規顧客の獲得にかかった費用を含めて計算します。

CAC=新規顧客の獲得にかかった営業・マーケティング費用÷獲得した新規顧客数

獲得費用の上限は、LTVに加えて回収までの期間から決めます。先ほどの月額契約で12か月以内の回収を目指すなら、その期間に得られる粗利益を確認します。追加受注の時期が決まっていなければ、まず基本契約の粗利益だけで考えましょう。

先ほどの仮の条件を使い、顧客獲得費用の上限を次のように置きます。

仮定する項目金額・条件
1社から毎月得られる粗利益10万円
想定する回収期間12か月
12か月契約が続いた場合の粗利益120万円
顧客獲得に割り当てる費用の上限60万円と仮定

この例では、12か月分の粗利益120万円のうち、獲得費用の上限を60万円と仮定しています。残りは管理部門などの固定費や利益に充てます。実際の配分は、自社に必要な運営費と手元資金から決めましょう。

毎月の粗利益が一定なら、獲得費用の回収期間は次の式で計算できます。

CACの回収期間(月)=CAC÷1社あたりの月間粗利益
この例では、60万円÷10万円=6か月

6か月はサービス提供を始めてからの目安です。途中解約に加え、受注までの営業期間や、請求から入金までの日数も確認し、先に支払う費用をまかなえる予算に調整します。

広告費・営業人件費・紹介料を含めて、施策ごとの予算を決める

受注1件に使える上限が決まったら、その範囲で集客と営業に予算を割り当てます。広告なら出稿費・制作費・運用費、展示会なら出展費・準備・商談対応、パートナー経由なら紹介料や営業支援の費用まで含めます。自社社員が対応する場合も、作業時間をゼロ円として扱わないことが大切です。

先ほどの仮の例で、受注1件あたりの上限60万円のうち、営業・制作・運用などに40万円を見込み、広告出稿に20万円を割り当てるとします。問い合わせ1件に使える広告費は、成約率から逆算できます。

問い合わせ1件あたりの広告費上限=受注1件に使える広告費×問い合わせからの成約率

広告から得た問い合わせの10%が受注する想定なら、「20万円×10%=2万円」です。問い合わせを10件獲得するのに広告費20万円を使い、そこから1件の受注につなげる計算になります。

成約率が5%なら上限は1万円になります。同じ広告でも、その後の成約率によって許容できる獲得単価は変わります。商談申し込みの成約率を、資料ダウンロードやセミナー参加にそのまま当てはめないようにしましょう。

開始時に実績がなければ、継続して使える予算とは別に、損失を許容できる範囲で検証費用を決めます。受注まで時間がかかる商材では、直近の申し込みをすべて未成約として計算せず、同じ時期に獲得した顧客の商談が進んだ段階で見直します。広告から知った人が後日指名検索で申し込む場合なども、複数の施策で同じ受注を重複して数えないように確認します。

BtoB集客で商談につなげるために整えたいこと

HubSpotの日本のBtoB購買に関する意識・実態調査2026で、売り手に接触するBtoBの買い手1,431名のうち63.5%が複数の候補を挙げた段階以降に接触し、36.5%がそれより前に接触していることを示した帯グラフ

BtoBでは、営業担当者に会う前から候補を比較する買い手もいます。HubSpotの2026年の調査では、売り手に接触する買い手1,431名のうち、63.5%が、複数の候補を挙げるか、それより先まで検討を進めてから接触すると回答しています。調査対象は、従業員50名以上の企業に勤務し、直近12か月以内にBtoB商材の購買に関与した人です。出典:日本のBtoB購買に関する意識・実態調査2026

この結果からも、営業の場で説明する情報を、サイトや資料で先に確認できるようにする意義がわかります。選んだ集客方法から興味を持った人に、比較の材料、申し込み先、その後の対応を用意しましょう。

顧客の成果を示した事例を、サービスページや営業資料に載せる

事例では、導入企業の名前に加え、どんな課題に対し、何を実施し、業務がどう変わったかを伝えます。知名度のある顧客との取引は信頼の材料になりますが、自社でも同じような成果が出そうかを判断するには、支援内容まで必要です。

成果を数値で示す場合は、対象業務と比較期間をそろえます。たとえば作業時間の削減なら、どの作業を、何人分、どの期間で比較したのかを添えます。製品の導入と同時に業務手順も変えている場合は、その変更も説明しましょう。数字だけが独り歩きするのを防ぎ、顧客が自社の場合を考えやすくなります。

顧客担当者が社内で説明できるよう、同じ事例をサービスページや資料でも確認できる形にしておきます。公開できる成果数値がない場合は、確認できた業務の変化や顧客の評価を記載し、推測した効果を実績として加えないことが重要です。

商談・資料請求・セミナーなど、検討状況に合う申し込み先を用意する

依頼先を具体的に比較している人には、見積もりや個別相談を案内します。一方、課題を調べ始めた人が、すぐに営業担当者との打ち合わせを望むとは限りません。読むページや広告の内容に合わせ、次のような選択肢を用意します。

  • 商談・個別相談:自社の条件で導入できるか、費用はいくらかを確認したい人に案内する。
  • 資料請求:サービスの詳細や選定基準を確認したい人へ、サービス資料やホワイトペーパーを届ける。
  • セミナー:解決方法を詳しく知りたい人へ、実務の解説や事例紹介を行う。
  • 無料登録:試してから判断したい人に、試用環境や会員向け機能を提供する。
  • メルマガ登録:今後の検討に向けて、継続的に情報を得たい人へ案内する。

すべてのページに五つとも並べる必要はありません。サービスの料金を調べている人には具体的な相談先、業務課題を扱う記事には関連資料やセミナーなど、読んでいる内容から自然に選べる申し込み先を優先します。提供できる資料や運営体制がないまま、申し込みボタンだけを増やさないようにしましょう。

問い合わせや参加後の連絡を、営業担当と決めておく

問い合わせへの回答と、資料をダウンロードした人への連絡では、伝える内容を変えます。相談したいと申し込んだ人には、質問への回答や打ち合わせの日程を案内します。情報収集中の人には、関心を持った資料やセミナーのテーマを踏まえ、追加情報や必要に応じた相談を案内しましょう。

展示会で聞いた課題や、セミナーのアンケート内容は、営業担当が確認できる場所へ残します。連絡時に同じ質問を最初から繰り返すより、「会場でお話しされていた課題について」と説明できたほうが、相手も続きを話しやすくなります。誰がいつ連絡し、反応がなかった場合にどうするかまで決めておくと、担当者間の重複や対応漏れを防げます。

すぐに依頼しない企業にも、検討時期や必要な情報を確認し、相手の希望に合わせて連絡します。営業側から寄せられる「対象外の企業が多い」「このテーマの参加者は具体的な課題を持っている」といった情報は、次の広告やセミナーの内容にも反映していきましょう。

【関連記事】HubSpotの使い方は?BtoB企業が最初に設定する7項目と運用手順

BtoB集客の成功事例

ここでは、営業・マーケティング施策を組み合わせる企業、他社の販売網を活用する企業、検索を中心に相談や申し込みを獲得する企業の事例を紹介します。顧客にどうアプローチしているか、自社にも取り入れられる方法があるかを見ていきましょう。

PKSHA Technology

PKSHA Technologyのコーポレートサイトのトップページ

PKSHA Technologyは、企業向けのAIソフトウェアや個別開発を手がけています。2026年9月期第3四半期の決算説明資料では、時価総額上位の国内上場企業100社中75社、200社中143社との販売実績を示しています。この集計は2025年1月までの1年間を対象としたものです。出典:2026年9月期第3四半期決算説明資料・16ページ

集客面で参考になるのは、アウトバウンド、インバウンド、パートナーの三つを組み合わせている点です。

アウトバウンドについては、2023年に公開されたPKSHA Workplaceへの取材で、相手企業の組織や課題を調べたCxOレターを送り、その後に電話で連絡する取り組みが紹介されています。当時の営業責任者は、想定を上回るコンタクト率・商談化率につながったと説明しています。出典:才流によるPKSHA Workplaceへのインタビュー

インバウンドでは、導入事例、セミナー、資料などを公開し、顧客が課題や製品について調べられるようにしています。パートナー経由では、コンタクトセンター向けAI SaaSに販売・紹介・共創の制度を用意し、提案への同席やデモ対応なども行っています。自社以外の営業担当者も製品を提案できるよう支援し、販売先を広げています。出典:PKSHA AI SaaS公式サイト、公式パートナー制度

契約後に利用を広げる事例もあります。2026年9月の資生堂への拡張導入の発表では、NEC VALWAYとともに運用を支援し、有人チャットからAIの自動回答へ段階的に移行したことを紹介しています。窓口の受付時間外に発生する月100件以上の問い合わせにもAIが即時対応すると報告しており、顧客名だけでなく業務上の変化を示しています。出典:資生堂へのPKSHA AIヘルプデスク拡張導入の発表

この事例から学べるのは、大企業への集客にも、相手に合わせた提案、実績の発信、パートナーとの協力が必要だということです。さらに、導入後の支援と成果を次の提案に使っています。自社で取り入れる際も、集客方法を増やすだけでなく、顧客の成果を事例や追加提案へ生かすところまで考えましょう。

ファーストアカウンティング

ファーストアカウンティングの公式サイトのトップページ

ファーストアカウンティングは、請求書の読み取りや仕訳など、経理業務に特化したAIサービスを提供する企業です。2026年4〜6月期の売上構成は、会計ソフト会社へのOEMが22%、販売パートナー経由が28%、直接販売が50%でした。売上の半分を、他社の製品や販売網を通じて獲得しています。

OEMでは、AIモジュール「Robota」を会計ソフト会社の製品に組み込んでもらい、その会社の顧客へ提供しています。会計ソフト会社は自社製品にAI機能を追加でき、ファーストアカウンティングは相手の顧客基盤へ製品を届けられます。2026年6月末時点で、導入先の会計ソフト会社は31社でした。

大企業向けには、直接販売と、SIer・コンサルティング会社などを通じた販売を組み合わせています。パートナーが持つ顧客や案件に対し、経理業務を改善する製品として提案してもらう形です。同じ時点の大企業顧客149社のうち、63社が販売パートナー経由でした。出典:2026年12月期第2四半期決算説明資料・42、44、59ページ

パートナーとの協力は、販売だけでなく集客にも広がっています。プロシップと開催した新リース会計基準に関する共同イベントでは、319人が登録し、243人が参加しました。両社に関係する業務課題をテーマに、見込み顧客を集めています。出典:同決算説明資料・27ページ

この事例で参考になるのは、自社が狙う顧客とすでに取引している企業を、集客や販売の協力先にしていることです。自社の技術で相手の商品を便利にできるならOEM、相手の顧客が抱える課題を一緒に解決できるなら販売提携やイベントの共催を検討できます。特定の業務や業界に強みを持つBtoB企業は、その顧客が使っている製品や取引先から、協力できる企業を探してみましょう。

日本AI導入支援協会

一般社団法人日本AI導入支援協会のトップページ

一般社団法人日本AI導入支援協会は、日本企業のAI活用を支援する一般社団法人です。2026年4月1日に設立し、東京都港区に所在地を置いて、オンラインで全国を対象に活動しています。ツールの選定や社内展開、業務フローへの組み込みで立ち止まっている企業に対し、規模・業種・課題に応じたAI活用を提案し、現場に伴走することを掲げています。

事業は、無料AIセミナー、法人向けAI研修、AI導入支援コンサルティング、AI受託開発、AIツール・AIベンダーマッチングの5つが柱です。無料AIセミナーは参加費無料のオンライン開催で、法人向けAI研修は10名以上の企業に向けたオーダーメイドの研修として、人材開発支援助成金の活用にも対応しています。AI導入支援コンサルティングでは、専属のAIコンサルタントがツール選定から社内ルールの整備、業務プロセスの改善まで継続して支援します。このほか、AIスキルを証明する資格試験としてAI人材検定を運営しています。

取り組んだSEO対策

j-aix.or.jpのドメインの中に日本AI導入支援協会の本体サイトとAI JOURNAL、AI CATALOG、AI求人ナビの3つのメディアを置き、被リンク・内部リンク・検索流入を本体に集め、業界団体という法人の特性を生かして大手AI企業・メディア・求人企業からの被リンクとAI事業の横断調査レポートの公開で評価を高める構成図

協会サイト(j-aix.or.jp)の配下に、無料AIセミナー、法人向けAI研修、AI導入支援コンサルティングなどのサービスLPを整え、申し込みを受けるページそのものの上位表示を狙いました。

同じドメインの配下では、AI企業へのインタビューなど企業のAI活用に役立つ記事を発信する「AI JOURNAL」、国内外のAIサービスを横断検索できるデータベース「AI CATALOG」、AI業界の求人データベース「AI求人ナビ」の3つのメディアを運営しています。AI CATALOGには、2026年6月時点で508社・603件のAIサービスが掲載されています。これらのメディアで取材記事やAI事業の横断調査レポートを発信し、そこで得た被リンクや検索流入を、LPのある協会サイトに集めています。

成果

2026年4月の協会設立から8月までの5か月間で、有効リードは累計172件になりました。月間の件数は、4月の12件から8月には81件に増えています。8月は7月の45件から1.8倍に伸び、月20件の目標に対して達成率は405%でした。8月は広告費0円で、81件はすべて検索、AI検索、直接流入からの獲得です。

月間の有効リード(件)

8月のリードは、セミナー申込が6割を占め、残りをお問い合わせ、資料請求、商談申し込みが分け合っています。7月と比べて、セミナーページへの検索クリックは1.6倍、AI導入支援コンサルティングのページは1.7倍に伸びており、申し込みにつながるLPへの検索流入がリードの増加を支えています。

出典:日本AI導入支援協会の実績公開、2026年8月の実績レポート

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法人番号:5010003034766(国税庁)
設立:2021年4月
代表社員:藤岡充輝
事業内容:SEO対策・広告運用 / CRM設計 / セールス支援 / 生成AIを活用した業務自動化 / Webメディアの企画・運営
所在地:〒104-0061 東京都中央区銀座一丁目22番11号 銀座大竹ビジデンス2階

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