当社が担当する日本AI導入支援協会のマーケティングについて、立ち上げから2か月間(2026年4月から5月)の実績を報告します。法人の設立からわずか2か月という短期間で、広告費をほぼ投下せず、オーガニック検索を中心とした流入施策のみで2か月間で計37件の有効リードを獲得し(4月12件、5月25件)、当該期間には初の受注にも至りました。本稿では、この成果に加え、なぜこの戦略を採用したかという判断の背景を記します。
マーケティングの座組

本施策は、日本AI導入支援協会のサイト(j-aix.or.jp)を基盤としています。研修・AIコンサルティング・セミナーを案内する本体サイトに加え、検索流入の間口を広げるために、AI CATALOGとAI JOURNALの2つを設置しています。

AI CATALOG(j-aix.or.jp/catalog/)は、509件を超えるAIサービスを、技術カテゴリ・対象業種・用途で検索できるデータベースです。網羅的に情報を整理することで、検索面の獲得と、領域全体を扱う事業者としての専門性のシグナルを兼ねています。

AI JOURNAL(j-aix.or.jp/journal/)は、比較記事や解説記事を配信するメディアです。検討段階の利用者が参照するキーワードで検索流入を獲得し、本体の研修・セミナーへの導線とします。
カタログによる網羅的なデータベースと、ジャーナルによる解説コンテンツで検索面を広く押さえ、本体の各サービスへ送客する。これが今回の集客の座組です。以下、この座組のもとで実施した2か月間の戦略と実績を報告します。
戦略方針: 広告で大手と競争しない
立ち上げの時点で、市場には既に大手が参入していました。広告費による獲得競争は、立ち上げ期のキャッシュフローの観点から勝ち目がないと判断し、有料広告を主軸とする選択肢は早期に外しました。
一方で、日本AI導入支援協会は一般社団法人として研修・導入支援・企業紹介を一体で手がけており、同様の事業者は他に存在しません。この公的な立場は、被リンクおよび参照ドメインの獲得を通じてドメイン評価を高め、検索上の優位に転換できると見込みました。したがって、初期はオーガニック検索に資源を集中する方針を採っています。
主要指標サマリー(2026年4月から5月)
2か月間の主要指標を以下に示します。受注金額および取引先名は非開示とし、流入およびリード獲得の実数を公開します。
有効リードは、営業目的やスパム等の対象外を除外した件数です。フォーム受信件数の総数ではなく、商談化の可能性がある案件のみを計上しています。検索クリックは3月の336件から4月515件、5月806件と継続的に増加し、流入の増加と転換率の改善(2.3%から3.1%)が同時に作用したことで、有効リードは倍増しました。
着地ページの設計: 複数用意し、上位を取れた導線へ集中
集客の着地点を1つに絞らず、CVRの高いキーワード群に対して比較記事・一覧記事を中心に複数の着地ページを用意しました。「AI研修 おすすめ」「AI研修 オンライン」「AI研修 助成金」「AI補助金」といった、検討段階の利用者が参照するクエリが対象です。
結果として上位表示を獲得できたのが、セミナー申込につながる導線でした。セミナー形式は、申込後に顧客と直接コミュニケーションを取れるため、ヒアリングを通じて要件を把握しやすく、そのまま受注に至る割合が高いと考えています。資料請求や問い合わせと比較して、商談化への距離が近いことが確認されました。
検索エンジン別の流入: Bingの比率の高さ
検索流入をエンジン別に見ると、Bingの比率が一般的な想定を大きく上回りました。フルに比較できる5月の検索クリックは、Googleが806、Bingが613で、検索クリック全体に占めるBingの割合は約43%です。一般的なWebサイトでBingの比率は1割に満たないことが多く、際立って高い水準です。
背景には、ターゲットであるBtoB・DX関連の事業者の利用環境があると考えています。法人で支給される業務用PCは、標準ブラウザとしてMicrosoft Edge(既定の検索エンジンがBing)が設定されているケースが多く、個人利用で主流のGoogleとは検索エンジンの分布が異なります。BtoBでDX領域を対象とする場合、Google検索のみを前提とした最適化では、流入の相当部分を取りこぼす可能性があります。
この結果を踏まえ、Bing Webmaster Toolsのデータも取得対象に加え、Googleと並行して検索パフォーマンスを管理しています。
リード構成と受注経路
フォーム種別別のリード構成は以下のとおりです。
増加を牽引したのはセミナー申込で、6件から18件へと3倍に増加しました。当該期間の初受注も、セミナー申込経由で発生しています。初受注はセミナー申込から約2週間で成立しており、流入時点での関心度の高さを示しています。
有料施策(DM)の位置づけ
4月に、地方のDXが進んでいない企業を対象としたDMのテスト配信を実施しました。配信数1,595通、費用16,500円に対し、反応は2件、受注は0件です。
反応が伸びなかった主因は、配信リストの精査が不十分であった点にあると分析しています。施策自体の否定ではなく、ターゲティング精度の課題です。継続投下を検討する前にセミナー経由のCVが立ち上がったため、対応リソースをそちらへ集中させる判断から、DMは一旦停止しました。
課題: リードの質と競合キーワードでの上位獲得
2か月間の推移は、おおむね当初の想定どおりです。一方で、問い合わせ経由の受注率は想定を下回っており、リードの質の向上が課題として残ります。
リードの質は、流入キーワードの質に依存します。競合の強いキーワードで上位を獲得することが、質の高いリードを得るための本筋であると考えており、次期はこの領域での順位獲得を優先します。
マーケティング運用のAI内製体制
当社は、この日本AI導入支援協会のマーケティングを、効果検証・コンテンツ制作・市場調査に至るまでAIで内製しています。各種ツールのAPI連携により、サイト生成からマーケティング環境の構築までを一貫してワンストップで行っています。担当するサイトはすべてAIで生成しており、運用も少人数で完結します。
獲得施策そのものを市場調査として機能させている点が特徴です。リード獲得時にニーズヒアリングを必須とし、取得した情報を分析してキーワード策定や企画に反映しています。データベース型サイトの構築・運用も一人で実装可能であり、運用コストを抑えています。
記事制作にもAIを活用しますが、完全にAIへ委ねることはしません。一次情報を必ず加え、誰でも生成できるコンテンツにしないことを重視しています。日常のリード獲得の中で一次情報を蓄積できる仕組みを設計しており、インタビュー記事は今後注力する領域の一つです。
総括: ゼロからのBtoB集客に対する見解
AIを活用すれば、マーケティングの実装負荷は小さく、必要資金もほとんどかかりません。実質的にリスクを負わずに着手できます。ゼロから始める場合は、既存サイトのサブディレクトリ、または新規ドメインで、まずSEOを軸に着手することを推奨します。
当社は今後も、担当する日本AI導入支援協会のマーケティング実績を毎月開示し、成果と課題を同一の基準で公開していきます。

