従来のSEOではGAでの計測やサーチコンソールのKW調査、KW順位などを指標においたKPI設計が容易でした。一方、AI検索の登場によって、単純な順位計測では足りず、その計測方法や手順について悩む方も多いのではないでしょうか。
LLMOの効果を測るには、「どの質問への回答で自社が言及・引用・推奨されたか」と、「計測期間中の流入・申し込みがどう変わったか」を記録することが大切です。単純にAIに自社名が出たことを確認するだけでは、対策を続けるべきか、どのページを改善すべきかまでは判断できません。
最初は、質問と回答を残す記録表、流入と成果をまとめる集計表の2つを用意すると運用しやすくなります。本記事では、30問を各3回確認する場合の集計例を使い、記録すべき項目、ツールでの確認方法、結果から次の施策を判断する方法まで整理します。
AIを活用したBtoBマーケティングの戦略設計から実行までを担当。検索流入を軸にした集客と、AIXの現場知見をもとに記事を監修しています。
合同会社efuでは、AI検索で引用される状態をつくる設計から実行までを支援しています。記事の内容に関するご質問や、自社での取り組みについてのご相談は、支援内容のページからご連絡ください。
LLMOの効果測定で押さえたい4つの指標
LLMOの効果測定では、まずAIの回答で自社がどのように紹介されているかを確認し、流入や申し込みの変化と照らし合わせます。確認する項目を、次の4つに整理します。
| 計測項目 | 記録する内容 | 確認するポイント |
|---|---|---|
| ブランド言及率 | 自社名・商品名が出た回答の割合 | 顧客が調べるテーマで自社の名前が挙がっているか |
| 自社サイトの引用率 | 自社URLが出典になった回答の割合 | どのページが、どの質問への回答で引用されたか |
| 紹介内容の質 | 推奨の有無と理由、説明の正確性 | 顧客の条件に合う候補として、正しく紹介されているか |
| ビジネス成果 | 流入、申し込み、有効問い合わせ、商談・売上 | サイト全体の集客と事業成果がどう変わったか |
例えば、社名が回答に出ても、条件に合わない会社として紹介されている可能性があります。また、解説記事が引用されても、申し込みが増えるとは限りません。名前が出たか、出典に使われたか、勧められたか、成果が変わったかを分けて記録することで、どこを改善するべきかを検討できます。
ブランド言及率|自社名・商品名が回答に登場した割合
AIの回答文を読み、自社名や商品名が出ているかを確認します。集めた回答のうち、自社名・商品名が出た回答の割合を「ブランド言及率」と呼びます。
例えば、SEO支援会社なら「BtoB企業のSEOを支援する会社を教えてください」と質問し、自社名が挙がるかを調べます。質問に自社名を入れると、AIが質問に答えるために社名を書く場合があります。顧客が支援会社を探す場面で自社が紹介されるかを調べるときは、自社名を含まない質問を使います。
回答ごとに、社名が出ていれば1、出ていなければ0を記録します。同じ回答に社名が何度出ても、記録する値は1にします。下表では、自社名を「A社」と仮定しています。
| AIの回答例 | 記録する値 | 判断する理由 |
|---|---|---|
| 「候補としてA社、B社が挙げられます」 | 1 | 回答文にA社が登場している |
| 「A社は記事制作に対応しています。A社の事例には……」 | 1 | 同じ回答内で社名が繰り返されても1件と数える |
| 「A社は今回の条件には合いません」 | 1 | 否定的な紹介でも、社名が出ていれば言及に含める |
| 「候補としてB社、C社が挙げられます」 | 0 | 回答文にA社が登場していない |
回答内に同じブランド名が複数回出ても1件と数える方法は、AhrefsのMentions指標でも採用されています。Ahrefs公式:AI Visibility Metrics
ブランド言及率=自社名・商品名が出た回答数÷確認した回答数×100
仮に、90件の回答を確認し、18件に自社名が出ていれば、18÷90×100で言及率を20%と計算できます。回答を取得できなかった場合は、分母に含めません。回答を取得できていれば、社名が出ていない回答も分母に含めます。
集計前に、正式な社名、略称、英語表記、商品名のうち、どの名前を数えるかを決めておきます。社名と商品名をまとめて数える場合は、両方が同じ回答に出ても1件と数えます。同じ名前を持つ別会社が登場した場合は、自社への言及に含めません。
言及率を継続して比べるときは、同じ質問を使い、AIサービスごとに集計します。例えば、同じ質問を同じ回数ずつ入力し、毎回90件の回答を集めるとします。自社名が出た回答が18件から27件に増えれば、言及率は20%から30%に上がります。自社名が出るようになった質問の内容を読み、どの顧客課題について自社が紹介されるようになったかを確認します。
社名が出ていても、顧客に勧められているとは限りません。推奨の有無や説明の正確性は「紹介内容の質」で別に評価します。
自社サイトの引用率|出典として自社URLが掲載された割合
AIの回答に付いた出典リンクを確認し、自社サイトのページが使われているかを調べます。自社URLが出典として掲載されていれば1、掲載されていなければ0を記録します。同じ回答にサービスページと事例ページの2つが引用されていても、回答単位では1件と数えます。
自社サイトの引用率=自社URLが引用された回答数÷確認した回答数×100
90件の回答を確認し、9件に自社URLが出典として載っていれば、9÷90×100で引用率を10%と計算します。回答を取得できなかった場合は、言及率と同じく分母に含めません。引用したページがない回答も、正常に取得できていれば分母に含めます。
出典の確認では、AIが検索中に見つけたページと、実際に回答の出典に選んだページを区別します。例えばAhrefsでは、取得したページを示す「Found in」と、出典に使われたページを示す「Citations」を分けています。Ahrefs公式:言及と引用の集計方法
言及率と引用率は、それぞれ集計します。他社の比較記事を出典に自社の商品が紹介された場合は、言及があっても自社サイトへの引用はありません。反対に、自社の解説記事が出典に使われても、回答文に社名や商品名が書かれない場合があります。名前の登場回数だけを調べると、情報源として使われているページを見落とします。
記録表には、引用されたURLをすべて残します。URLごとに質問の内容を確認し、サービスページ、事例、調査資料、解説記事のどれが引用されているかを整理しましょう。例えば、会社を比較する質問で事例ページが引用されていれば、実績の説明が正確か、サービス内容や相談窓口へ進めるかを確認できます。引用率の増減を、ページを見直す手がかりとして使います。
紹介内容の質|推奨のされ方と情報の正確性
社名が登場した回答を読み、顧客の条件に合う選択肢として勧められているかを確認します。例えば「A社はSEO支援を提供しています」だけなら、提供サービスの説明にとどまります。「Web担当者が1人なら、記事制作とサイト改修をまとめて依頼できるA社が候補になります」と説明されていれば、質問の条件に沿った推奨として記録できます。
担当者によって判定が変わらないよう、本記事では次の基準で記録する方法を紹介します。ツールが表示する評価と同じ定義とは限らないため、自社で判定するときの基準を記録表に添えます。
- 推奨:質問の条件に合う候補として挙げられ、向いている理由も説明されている。
- 言及のみ:名前は出ているが、条件に合う候補として勧める説明がない。
- 否定・不適合:条件に合わない、依頼を勧めないと説明されている。
- 登場なし:回答に自社名・商品名が出ていない。
会社や商品を選ぶ質問では、推奨された回答の割合も集計できます。例えば、比較・選定に関する20問を各3回確認し、60件の回答を集めたとします。12件で自社が推奨されていれば、12÷60×100で推奨率を20%と計算します。自社が登場しなかった回答も分母に含めます。用語の意味だけを聞く質問は集計対象から外し、どの質問を対象にしたかを明記します。
推奨の有無とは別に、説明が正しいかも確認します。料金、最低契約期間、対応地域、支援範囲などを実際のサービス内容と照合してください。条件に合う会社として勧められていても、対応していない業務を「依頼できる」と説明されていれば、問い合わせ後の行き違いにつながります。
誤りがあった場合は、回答文、参照URL、正しい情報を記録します。まず公式ページに古い説明や曖昧な表現が残っていないかを確認し、必要な箇所を更新します。次回の計測では同じ質問を使い、説明が変わったかを確認します。推奨回数を増やすことに加え、顧客が正しい情報で比較できる状態を目指します。
ビジネス成果|AI経由の流入・問い合わせ・売上
AIで紹介される機会が増えても、見込み客からの相談や購入につながっているかは別に確認する必要があります。サイト側では、AIサービスからの流入、申し込み、問い合わせ後の商談・売上を追います。同じ期間のサイト全体の成果も集計し、AI経由で識別できた流入だけに評価を限定しないようにします。
集計前に、何を申し込みとして数えるかを決めます。フォームを開いた回数や送信ボタンを押した回数ではなく、送信が完了した回数を確認します。資料ダウンロードと商談予約は目的ごとに分け、営業メールや重複送信を除いた「有効問い合わせ」も別に管理します。
CVRを比べるときは、同じ計算方法を使います。本記事では、「申し込みが1回以上発生したセッション数÷対象セッション数×100」で計算します。例えば、AI経由の100セッションのうち2セッションで申し込みがあれば、CVRは2%です。1回の訪問中に同じフォームが2回送信されても、申し込みがあったセッションは1件と数えます。GA4のセッションキーイベント率も、キーイベントが発生したセッションの割合を示します。Google公式:トラフィック獲得レポートの指標
件数が少ないと、申し込みが1件増えるだけでCVRが大きく変わります。割合だけを報告せず、セッション数と申し込み件数も併記しましょう。AI経由とサイト全体で同じ申し込みを成果に設定すると、訪問後の行動を比較しやすくなります。
BtoBでは、問い合わせの管理表やCRMに、問い合わせ日、分かる範囲の流入元、商談化の有無、受注日・金額を残します。例えば、AI経由の問い合わせが増えても、支援対象と合わず商談にならないなら、紹介されている内容やサービスページを見直す必要があります。問い合わせから受注まで時間がかかる場合は、問い合わせを受けた月ごとに、その後の結果を追って評価します。
LLMOの計測を始める4つのステップ
まず計測に使う質問を決め、AIの回答を記録します。次に、自社と競合の登場状況を比べ、実施した施策と成果の変化を照らし合わせます。ツールを導入する前に質問と集計方法を決めておくと、数字が増減したときにも回答をさかのぼって確認できます。
顧客の検索意図に合わせて質問を用意する
質問は、商談で聞かれる内容、問い合わせ前の不安、Search Consoleで確認できる検索語などから作ります。自社が表示されそうな質問だけを選ぶと、実際の見込み客との接点を測りにくくなります。
| 検討段階 | 質問例 | 主に見る指標 |
|---|---|---|
| 情報収集 | BtoB企業がSEOを外注するとき、支援会社はどう選べばよいですか? | 言及、引用、説明の正確性 |
| 比較 | BtoB向けSEOコンサル会社を、記事制作とサイト改修の対応範囲で比較してください。 | 言及、推奨、競合との違い |
| 依頼検討 | Web担当者が1人のBtoB企業に合うSEO支援会社と、選定時の確認事項を教えてください。 | 推奨理由、顧客条件との一致 |
初期運用なら、各段階から10問ずつ、合計30問を用意する方法があります。自社の商材に合わせて20問から始めても構いません。件数自体より、重要な顧客課題と比較条件を含め、同じ質問を継続して追うことが大切です。
各質問にIDを付け、文面と検討段階を保存します。「〇〇社はおすすめですか」といった自社名入りの質問は、既に自社を知っている人への説明を確認するための別枠にします。競合名も入力で誘導せず、通常の質問への回答にどの会社が登場するかを見ます。
AIサービスと計測条件をそろえて定点観測する
最初は、顧客が使っているAIサービスを1つ選び、決めた質問を定期的に入力します。同じ質問でも回答が変わる場合があるため、1回の回答だけで判断せず、複数回の結果を残します。本記事の例では、30問を1問につき3回ずつ入力し、1つのAIサービスから合計90件の回答を集めます。30問・3回は運用方法を説明するための例で、必要な精度を保証する回数ではありません。
例えば週に1回確認するなら、次の週も同じ質問を同じ回数ずつ入力します。質問を入力するたびに新しい会話を使い、サービス名、確認できる場合はモデル名、検索機能の有無、言語、パーソナライズの設定を記録します。アプリで確認した回答とAPIで取得した回答も分けます。実行条件が異なる結果を混ぜると、何を変えたために数値が動いたのか判断しにくくなるためです。
| 記録する項目 | 入力する内容 |
|---|---|
| 質問ID・文面・検討段階 | 質問を識別する番号、入力した文章、情報収集・比較・依頼検討の区分 |
| 日時・AIサービス・実行条件 | 実行した日時、サービス名、モデル名、検索・パーソナライズの設定、アプリかAPIか |
| 実行回・取得状態 | 同じ質問の1回目・2回目・3回目の区別、回答を取得できたか |
| 自社への言及・引用 | 有無を0・1で入力し、引用されたURLをすべて残す |
| 推奨・説明の正確性 | 判定、推奨された理由、誤った説明と正しい情報 |
| 競合・回答全文 | 競合名と紹介のされ方、再確認できるように保存した回答全文 |
記録表では、1行に1件の回答を残します。例えば質問ID「Q01」の回答は、1回目・2回目・3回目を別々の行に入力します。3回とも自社名が出た場合は、3行それぞれの言及欄に1を入力します。30問を各3回調べれば90行になり、言及欄の1を合計すると、自社名が出た回答数を求められます。
通信エラーなどで取得できなかった回答は、未取得と記録して集計対象から外します。取得できた回答に自社名がなければ、言及欄は0にします。例えば90回のうち2回でエラーが起きたなら、「実行90回・回答取得88件」と記載し、88件を分母に使います。未取得が特定の質問に偏っている場合は、再取得してから前回と比べます。
AIに言及や推奨の有無を判定させる場合も、記録表の基準を使います。条件付きの推奨や同名の別会社など、判定が難しい回答は人が読み直します。サービスを増やすと確認する量も増えるため、回答を精読できる範囲で対象と頻度を決めましょう。
同じ回答内で自社と競合の登場状況を記録する
競合比較では、自社と競合の言及率や引用率を同じ回答から計算します。例えば90件の回答を集め、自社が18件、競合Aが36件に登場していれば、自社の言及率を20%、競合Aの言及率を40%と計算します。1つの回答に複数の会社が登場することもあるため、各社の言及率を合計しても100%になるとは限りません。
自社より競合の言及率が高かった質問から、回答文を読みます。競合が「料金が明確」「特定業種の事例がある」「導入後の運用まで対応する」と紹介されていれば、説明の根拠となったページを確認します。自社にも同じ強みがあるなら、公式ページに十分な説明を載せているかを見直します。サービスの内容が競合と異なる場合は、顧客が求める条件に自社が対応できるかを検討します。
自社と競合で質問群や対象サービスが違う数値は、そのまま比較しません。ツールの競合レポートを利用する場合も、期間、対象テーマ、AIサービスの条件をそろえます。
施策前後と未施策のページを比較する
ページを改善する前に、関連する質問への回答と、流入・申し込みの数値を保存します。更新後に計測を始めると、改善前と比べて何が変わったのか確認できません。実施日、対象URL、修正内容、確認したい質問IDを記録してから施策を進めます。
例えば「サイト改修まで依頼できる会社」を調べる質問で、自社が記事制作の会社としてしか紹介されていなかったとします。実際には改修にも対応しているなら、サービスページに対応範囲や事例を追記します。更新後は同じ質問を使い、改修に対応する会社として紹介されるようになったか、関連ページへの流入や有効問い合わせが変わったかを確認します。何を直し、どの変化を期待したかを残しておくと、施策の振り返りが具体的になります。
週に1回はAIの回答を確認し、月に1回は流入と申し込みを含めて振り返る、といった運用が考えられます。更新したページとあわせて、更新していない近いテーマのページも確認します。複数のページで同じように引用が増えていれば、更新した内容以外にも増加の理由があるかもしれません。比較対象を置いても、更新の効果だけを厳密に切り分けられるわけではありませんが、確認する範囲を広げられます。
数値の変化を確認した後は、回答文と対象ページを読み、次に調べる内容を決めます。
- 引用は増えたが流入が増えない:どの質問で引用されたかを確認する。回答だけで疑問が解消する内容なら、クリックを伴わない接点が増えた可能性も考える。
- 流入は増えたが申し込みが増えない:流入先のページで、料金・対応範囲・事例など検討に必要な情報が足りているか、相談窓口へ進めるかを確認する。
- 推奨されるが説明が誤っている:参照された情報と公式ページを照合し、古い説明や曖昧な表現があれば更新する。
広告配信、PR、事例公開など、同じ時期に行った施策も記録します。AIの回答だけに変化があったのか、ほかの流入元や申し込みも変わったのかを確認し、次に改善するページと確認日を決めます。
LLMOの効果測定に活用できるツール
質問ごとの回答は、AIサービスで確認し、表計算ソフトに残す方法でも記録できます。確認する質問や競合が増えたら、Ahrefsなどのツールで継続的な集計を進める方法があります。自分で用意した質問以外で自社サイトが表示・引用されている状況は、Search ConsoleやBing Webmaster Toolsで確認します。
サイトに来た人の行動や申し込みは、GA4などのアクセス解析で追います。ツールごとに確認できる範囲が異なるため、回答の記録、表示・引用の実績、流入後の成果を組み合わせて見ます。
Google Search ConsoleでAI検索での表示回数を確認する
Search Consoleの生成AIパフォーマンスレポートでは、AI OverviewsとAI Modeで自社サイトのリンクが表示された回数を確認できます。ページ、日付、国、デバイス別に集計できるため、GoogleのAI検索でどのページの露出が増減しているかを調べるときに使います。Google公式:生成AIパフォーマンスレポート
- 対象サイトの生成AIパフォーマンスレポートを開き、確認する期間を指定する。
- サイト全体の表示回数の推移を確認し、施策を実施した日と照らし合わせる。
- ページ別の表を確認し、サービスページ・料金ページ・事例ページなど、重要なURLの表示回数を記録する。
例えば事例ページの表示が増えたら、事例で紹介している業種や課題に関する質問も定点観測に加える候補になります。Search Consoleではページの表示状況を確認し、別途集めたAIの回答では、自社の実績がどう説明されているかを読みます。
表示回数は、ブランドが推奨された回数やサイトへの訪問数とは異なります。また、同じ表示機会に自社の2ページが登場しても、サイト全体では1回と数える場合があります。ページ別の数値を足し合わせると全体と一致しないことがあるため、サイト全体とページ別の数値はそれぞれ記録します。レポートが表示されない場合も、表示回数が十分でないなどの可能性があるため、直ちに「AI検索への露出がゼロ」と判断しないようにします。
Bing Webmaster ToolsでAI回答への引用状況を確認する
Bing Webmaster Toolsの「AI Performance」では、Microsoft Copilotなどの対応サービスにおける引用回数と、引用されたページを確認できます。期間を指定し、全体の引用数、URL別の引用状況の順に見ます。Microsoft公式:AI Performance
引用が増えたページについて、更新日と修正内容を調べ、関連する質問への回答がどう変わったかも確認します。Grounding queriesでは、AIが情報を探すときに使った語句の一部を確認できます。利用者が入力した質問をすべて収録しているわけではないため、計測する質問を考える際の参考にします。
Bingのレポートは、対応するAIサービスで自社ページが引用された回数を示します。自社で行う定点観測では、事前に決めた質問への回答だけを調べます。レポートには取得元を明記し、Bingの引用回数と定点観測の引用率を分けて報告します。
Ahrefs(エイチレフス)のBrand RadarでAI上の言及・引用と競合との差を確認する
AhrefsのBrand Radarでは、AIの回答に自社や競合がどれだけ登場し、どのページが引用されているかを調べられます。あらかじめ収集された回答を検索する「AI Visibility Index」と、自社で指定した質問を継続して確認する「Custom Prompts」を使い分けます。Ahrefs公式:Brand Radar
競合と比べて自社がどのテーマで登場しているかを広く調べるなら、AI Visibility Indexを使います。一方、本記事で用意した30問のように、決まった質問への回答を追うなら、Custom Promptsが候補になります。特定業種の専門サービスなど、既存のデータに必要な質問が少ない場合も、質問を指定して計測する方法が役立ちます。
- 自社名、商品名、略称を確認し、自社への言及を調べる条件をそろえる。
- 比較する競合を決め、同じ期間・AIサービス・テーマのデータを確認する。
- 競合が登場し、自社が登場していない回答を読み、質問の条件と引用元を確認する。
- 継続して追う質問を決め、自社の説明や引用ページがどう変わったかを記録する。
言及の件数だけでは、条件に合う会社として推奨されているかまでは判断できません。回答文も読み、推奨理由と説明の正確性を確認します。また、Brand Radarの「AI Share of Voice」は、本記事の「自社名が出た回答数÷確認した回答数」とは集計方法が異なります。ツールの指標名と自社で計算した言及率を区別して報告します。Ahrefs公式:各指標の定義
Brand Radarは収集した回答からブランドの登場状況を調べるツールで、AIサービスの全利用者が実際に見た回答を集めているわけではありません。競合との差や改善するテーマを探すために使い、流入や申し込みの増減はアクセス解析や問い合わせの記録で確認します。Ahrefs公式:データの収集方法
GA4などのアクセス解析でAI経由の流入と成果を追う
GA4では、まず申し込み完了のイベントが計測され、キーイベントに設定されているかを確認します。次に、AIサービスから来た人がどれだけ申し込んでいるかを調べます。現在のデフォルトチャネルには「AI アシスタント」があり、ChatGPTやGeminiなど、対象のAIサービスからの流入を確認できます。Google公式:デフォルトチャネルグループ
- 「レポート」の「集客」から「トラフィック獲得」を開き、確認する期間を指定する。
- 「セッションのデフォルト チャネル グループ」で「AI アシスタント」の行を確認する。
- 「セッションの参照元 / メディア」に切り替え、chatgpt.comなど、記録されている参照元の内訳を確認する。
- 対象の参照元について、セッション数、申し込み完了のキーイベント数、そのイベントのセッションキーイベント率を記録する。
キーイベントを複数設定している場合は、申し込み完了のイベントを選んで比較します。資料ダウンロードなどを含む合計と、申し込みだけの数値を混ぜないようにしてください。また、「ユーザーの最初の参照元」は初回訪問のきっかけを示すため、今回の訪問元を見る「セッションの参照元」とは分けて扱います。参照:トラフィック獲得レポート、トラフィックソースの集計範囲
標準の分類に加えて、自社で追いたいAIサービスをまとめる場合は、カスタムチャネルグループを作ります。実際に記録されている参照元を条件に指定し、ほかのチャネルに先に分類されないよう、ルールの順序も確認します。対象サービスを追加した場合は、集計条件を更新した日も残します。Google公式:カスタムチャネルグループ
ChatGPTの検索結果からの参照リンクには、utm_source=chatgpt.com が付与されます。参照元を確認する手がかりになりますが、AIで自社を知った人が後日別の経路から訪問した場合までは、この値で特定できません。OpenAI公式:パブリッシャー向けFAQ
また、GoogleのAI OverviewsやAI Mode経由の流入は、「AI アシスタント」ではなくOrganic Searchに含まれます。AIサービスの参照元をまとめた数値だけでは、GoogleのAI検索を含めた流入全体を分離できません。報告時は「識別できたAIサービスからの流入」と記載し、対象のチャネルや参照元を明記します。流入先のページも確認し、訪問者が検討に必要な情報や申し込み窓口へ進めるかを見直します。
LLMOの計測結果を評価するときの注意点
定点観測の結果は利用者全体への露出率ではない
自分で選んだ質問への回答を調べても、ほかの利用者に自社が紹介されたかどうかまでは分かりません。言及率が20%でも、AI利用者の20%に自社が表示されたとは判断できません。質問をすべて同じ重みで集計した場合は、質問の利用頻度を反映していないこともレポートに記載します。
毎回同じ質問を使えば、自社が登場する頻度の変化を比べられます。新たに思いついた質問は別に記録し、これまでの集計に混ぜないようにします。質問を入れ替えた月も、変更していない質問については集計を続けます。
AIからの直接流入だけでは間接的な貢献を捉えきれない
AIで会社を知り、後日社名を検索して問い合わせる場合、最終的な流入元だけでは最初のAIとの接点を確認できません。商談まで時間がかかるサービスでは、AI経由のセッション内で申し込みがなかったことだけを理由に、貢献がないと判断しないことが大切です。
問い合わせフォームや商談時には、最初に知ったきっかけと、依頼前に参考にした情報を分けて確認します。例えば「ChatGPTで候補を知った」「社名検索で事例を読んだ」という回答を残せれば、アクセス解析に出ない検討過程を補えます。指名検索や直接流入の増加は補助指標として扱い、その全件をAIの成果に振り替えないようにします。
AI流入という単独の指標のみを追わない
AI経由の流入数やAI検索で推奨された回数だけを追っていると、マーケティング全体の改善を見落とします。SEOからの流入、広告費、指名検索、サイト全体の申し込み件数、CVR、有効問い合わせを同じ期間で確認します。
冒頭で紹介した2つ目の表には、流入と成果を月ごとにまとめます。GA4でセッション数と申し込みの数値を確認し、問い合わせの管理表から有効問い合わせを、広告の管理画面から広告費を集めます。集計期間と取得元を添えておくと、翌月も同じ方法で更新できます。
以下は、SEOからの流入が減る一方で、申し込みにつながる訪問が増えた場合の集計例です。説明のために仮の数値を使っています。CVRは、申し込みが発生したセッション数をサイト全体のセッション数で割って計算します。
| 指標 | 前月 | 当月 |
|---|---|---|
| SEOからのセッション数(Organic Search) | 8,000 | 6,400 |
| 識別できたAIサービスからのセッション数 | 80 | 100 |
| サイト全体のセッション数 | 10,000 | 9,000 |
| 申し込みが発生したセッション数 | 100 | 135 |
| サイト全体の申し込みCVR | 1.0% | 1.5% |
| 有効問い合わせ件数 | 70 | 95 |
| 広告費 | 20万円 | 20万円 |
SEO流入は減っていますが、申し込みが発生したセッション数は100から135へ、有効問い合わせは70件から95件へ増えています。CVRも1.0%から1.5%に改善しました。SEO流入の減少だけで施策を評価すると、申し込みにつながった改善を見落とします。一方、AIからの流入が増えたことだけで、全体の改善を説明することもできません。申し込みが増えたページ、流入元、商材を確認し、どの取り組みを続けるかを判断します。
広告を配信している期間にAI上の言及や推奨も増えている場合は、広告費、指名検索、AI上の指標、申し込み件数を同じ時系列で並べます。広告配信中に行ったPR、事例公開、サービスページの改善も記録し、顧客がどこで自社を知り、何を見て依頼したかを確認します。同時に数値が伸びたことだけで広告の影響だと断定せず、商談で聞いた内容も含めて、施策同士の関係を検討します。
AIで推奨されやすくする取り組みも、SEO・広告・PR・コンテンツ改善を含めた全体施策の中で考えます。例えば、自社の対応範囲を明確にしたり、実績を事例として公開したりする改善は、AIへの情報提供に加え、検索や広告から訪問した顧客の比較検討にも役立ちます。AI上の評価とあわせて、申し込み件数やCVR、商談・売上がどう変わったかを追うことが大切です。
月次の振り返りでは、質問と回答の記録表で「自社がどう紹介されるようになったか」を確認し、流入と成果の集計表で「集客や申し込みがどう変わったか」を確認します。実施した施策と照らし合わせて、次に直すページ、補う情報、確認する指標を決めます。担当者や支援会社に依頼するレポートも、AIに登場した回数の報告で終わらせず、次の改善まで提案してもらいましょう。
efuでは、AI検索最適化(LLMO)の支援を行っています。自社がどの質問で紹介されているかを確認し、集客や申し込みにつながる改善を検討したい方は、無料診断をご活用ください。
